2012年02月02日

ニーナ・アナニアシヴィリにロングインタビュー![グルジア国立バレエ]

≪白鳥の湖≫は、私のバレエ人生そのものです。
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圧倒的なテクニック、情熱のほとばしる演技。華やかなオーラを放ち、世界中を魅了する“永遠のスター”ニーナ・アナニアシヴィリが、今年の夏、日本に帰ってきます!
芸術監督を務めるグルジア国立バレエ団の執務室で、グルジア、バレエ、そして日本に対する思いを熱く語ってくれました。


― ニーナさんが、グルジア国立バレエ団の芸術監督に就任されてから7年。サアカシヴィリ大統領から懇請されて就任されたと記憶しています。大きな変化の時代でご苦労も多かったと思います。

 「そうですね。ソ連時代が終わり、グルジアが独立したのが91年。困難な時代に、大統領が就任されたのが2004年で、文化的な状況が少しずつ良くなる中での要請でした。最初は、このような大役をお引き受けすることに躊躇がありました。私は、バレリーナとしての経験は積んでいましたけれど、芸術監督としてバレエ団を率いるということは、まったく違うことですからね。でも、反面、祖国に求められている・・・とても幸せなことだ、とも感じました。
 芸術監督に就任して最初の2年間はとても大変でした。アメリカン・バレエ・シアター(ABT)のシーズン中、ニューヨークで踊りながらトビリシ(グルジアの首都)には自分のカンパニーがあるという状態でしたから。それに、子供がまだ小さかったですし。母親になるということは、人生を変えてしまいますからね。そんな中、ダンサーもバレエ学校の先生たちも皆、私の意思に沿おうと練習を積んでいました。ですから、私も普通の10倍の仕事をこなさなくてはなりませんでしたし、そうしたかったのです!」

― バレエ団の芸術監督で、かわいいエレーナちゃんのお母さんでもあり、外務大臣夫人でもいらっしゃる・・・。

「はい!それに、私もときどきは、良き妻としての責任も果たしていますよ(笑)」

― 芸術監督として就任する際に、バレエ団を世界的な水準に向上させることを望んでいらっしゃいました。当時の状況には決して満足しておられなかったわけですね。
 「就任直後は、まず水準の向上を目指しましたが、ご存知のように資金的な難しさがありました。グルジアは独立以来、政治的に困難な状況にありましたから。でも、大統領は『君が必要だ。だから何か必要なことがあったら、いつでも言ってほしい』と全面的に支援してくれました。水準向上は難しい要望である一方、大統領は団員の給料や公演を約束してくれたのです。ですから毎年、5つの新作を創ることが可能でした。バランシンの9作品を含め、3シーズンで27作品を上演したのですよ。世界記録かもしれません!(笑)。」

― 世界の第一線で活躍しているバレリーナが、現役を続けながら国立バレエ団を率いるということは簡単ではなかったでしょうね。故郷グルジアのためにという愛国心のような強い感情がありましたか。

 「大統領は母国の自由と発展をめざし、誰もが国に帰り貢献することを望んでいました。そのような祖国を前にして、私にはイヤということができませんでした。公演先でテレビをつけると、グルジアではまた戦争が起きています、というニュースがよく流れていました。それは本当に悲しいことでした。
 グルジア人は、もともと芸術的に豊かな民族なのです。素晴らしい演奏家、画家、映画監督などたくさん輩出しています。バランシン、チャブキアーニなどのダンサーもそうですね。今回の日本公演でも民族舞踊の≪サガロベリ≫を上演しますが、我が国の踊りは個性的です。ソ連時代に奪われてしまったグルジアのアイデンティティを取り戻して、ぜひ世界に紹介したいと思っています。
もうひとつ強調したいことは、グルジアとロシアは政治的な問題はあっても、人間として個人的にはまったく問題がないということです。ボリショイ・バレエのダンサーも、ウクライナからも、ゲストは様々な国からトビリシに来て踊ってくれています。
グルジアにはチャブキアーニという素晴らしい振付家がいました。チャブキアーニがここの芸術監督を務めていた時代には、彼の独創的なバレエが高く評価され、モスクワやレニングラード(現サンクトペテルブルグ)からセミョーノワ、マクシーモワ、プリセツカヤなどのスター・ダンサーが踊りに来ていました。2010年にチャブキアーニ生誕100年記念ガラを開催したのですが大成功を収めましたよ。」

― グルジアの舞踊の伝統を敬愛しているのですね。そうしたガラを成功させたということは、バレエ団の水準が上がってきたという証でもありますね。

 「ゆっくりとですが、今では、確かなレパートリーを誇れるようになってきています。古典ばかりでなく、バランシンやネオ・クラシック、モダンの作品も多いです。キリアンの作品は、バレエ団にとって非常に大切だと思っていますし、またラトマンスキーのような振付家に新作の委嘱や上演指導をお願いしています。日本では、バレエ団の成長した姿を見ていただけると思います。」

― 昨年は、東日本大震災の後、日本のためにガラ公演をして下さったと伺いました。

 「大好きな日本が大変な状況に置かれている時に、何かできたらと思ったのです。5月26日のグルジアの独立記念日に開催、グルジア在住の外交官の方たちも皆さんいらっしゃいました。オペラとバレエ半々のプログラムにして、オペラの曲目は≪蝶々夫人≫だけで構成、バレエは私の大好きなラトマンスキーの≪夢の中の日本≫を上演しました。最後は、皆で花を持ち、祈りを表現しました。あのような厳しい現実のなかで被災者の方々が本当に落ち着いて、静かに振る舞っていらしたことに感動しました。」

― 日本ではニーナさんの来日をとても楽しみにしています。

 「ありがとうございます。私はこの3月16日〜18日に舞台生活30周年を記念するガラ公演を行います。舞踊とともに歩んだ年月の長さに驚いています。」

― その記念の年に日本で、最後の≪白鳥の湖≫全幕を踊ってくださる。ニーナさんにとって≪白鳥の湖≫とはどのような作品ですか。
 
「今後もバレエの舞台には立ちますが、全幕で踊るのはこれが最後になります。≪白鳥の湖≫は、私のバレエ人生そのものです。キャリアの早い段階からずっと踊ってきた大好きな、とても大切な作品です。難しい作品ですが、心をこめて踊れば踊るほど深いものが感じられる。日本では、愛する皆さまのために、すべての思いを捧げて踊ります。」

取材・文 = 立木Y子(舞踊評論家)


ニーナ・アナニアシヴィリ
グルジア国立バレエ


≪白鳥の湖≫
2012年6月24日(日) 14時開演 東京文化会館
2012年6月27日(水) 18時30分開演 東京文化会館 
2012年7月19日(木) 18時30分開演 東京文化会館

≪特別プログラム≫
2012年7月21日(土) 14時開演 東京文化会館

公演の詳細はこちらから


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