2011年08月24日

セミョーン・チュージン インタビュー[ボリショイ・バレエ2012]

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Q:ちょうどチュージンさんが移籍するタイミングが、このチラシ(ボリショイ・バレエ2012年日本公演)の作成にギリギリ間に合って、このようにポートレート写真を入れることができました。すぐにまた日本で踊っていただけることを楽しみにしています。
A:僕も、ボリショイ・バレエのメンバーとして、こんなに間をおかずに日本に行けるなんて嬉しいです。チラシにも名前が入っているし、メンバーなんだ・・・と改めて思いました。

Q:ボリショイ・バレエへの移籍は突然だったのですか?
A:そうですね。突然でしたね。僕をボリショイ・バレエに抜擢してくれた芸術監督に就任したセルゲイ・フィーリンさんの移籍そのものも、突然のことでしたから。しかし、突然ではありましたが、僕の中では「いずれはボリショイ・バレエで踊りたい」という気持ちは、心のどこかにずっとありました。ダンサーには、それぞれ自分の中の“エベレスト”があると思うのですが、僕にとってはボリショイ・バレエこそが僕のエベレストでした。最高峰の山に登って行きたい、要求されるものは高いレベルのもので厳しい歩みになることは判っていましたが、そこに到達したい、そこを目指して行きたいという気持ちはずっとあったように思います。

Q:そのような思いは、ノヴォシビルスクのバレエ学校で学んでいるときから抱いていたのですか?
A:その頃は・・・夢にも思っていなかった・・・です。ううん、夢には思っていたかもしれませんが、遠い夢であり、叶うわけない夢、夢物語のように思っていました。ときどき、モスクワに遊びに行くこともありましたし、現在改装中で間もなくオープンするあの素晴らしいボリショイ劇場でバレエを観たこともありましたが、遠い遠い存在でした。ですから、あの劇場が間もなくオープンするというこの時にボリショイ・バレエの一員になれた・・・このことをとても光栄に思っていますし、同時に責任重大だということも感じています。
それから、ボリショイ・バレエのメンバーになれるということは、グリゴローヴィチ作品を多く踊れるということでもあり、特に嬉しいです。彼の振付作品を僕はもうほとんど崇拝している!と言っても良いと思います。世界的にも素晴らしい作品だということは疑いようのないことです。今は来日公演でも踊る「白鳥の湖」を練習していますが、今後他の作品も踊っていけることが楽しみです。今はまだお見せできる段階にはありませんが「スパルタクス」のクラッススも練習を始めています。まだまだ、まだまだですけれども!

Q:「白鳥の湖」はもう練習を始めているのですね。
A:もちろんです!

Q:グリゴローヴィチの「白鳥の湖」は、どういうところが違って、どのようなところが魅力ですか?
A:
今まで3つのバージョン(ブルメイステル版、ヴィノグラードフ版、シュペルリ版)を踊った経験があり、今練習しているグリゴローヴィチ版は4つ目の振付になりますので、自分の中でもいろいろ比較することができ、そういう意味でも興味深いです。さまざまな違いがありますが、グリゴローヴィチ版の特徴は“王子の成長”が物語の重要なポイントになっており、“王子の視線”“王子の思い”が作品の進行に大切な役割を果たしているのが僕にとっては魅力です。
王子がたくさん踊る!というのも嬉しいことです(観てくださる皆さんも、そう思ってくださると良いのですが・・・)。モノローグから踊りますし、とにかくダンスシーンが多いところも好きな理由です。

Q:王子の成長というふうにおっしゃっていましたが、最初に登場した時と、最後にひとり佇む時と、王子はまったく違う王子ですよね?
A:そうなのです。同じ“王子”なのに、違う。それは踊りと演技に説得力があれば、自然なことのように、王子の感情に寄り添って舞台を観ていただけること思っています。そういう意味ではとてもやりがいのある役ですよね。それと同時に、ロットバルトの役も興味深い役ですよ。他の演出とは違ってグリゴローヴィチ版ではロットバルトがある考えを持って王子を白鳥姫のところに導いていくわけですが、その思いを内に秘めているところなど演じがいがあるでしょうね。次回はぜひロットバルト役を踊りたいとも思っています!

Q:日本で踊られた「ジゼル」でも、最後のジゼルの愛によって救われたアルブレヒトがひとり佇むシーンでは、ヴィシニョーワとあなたが舞台にいるだけで、それまでのジゼルとアルブレヒトの愛が走馬灯のようによみがえってくるように感じたほどでした。その前のダンチェンコ・バレエで来日した時に拝見した「エスメラルダ」、そして今回の「ジゼル」でも、演技も大切に考えていらっしゃるということが舞台から伝わってきました。
A:もちろんです。僕はまず何よりもまず俳優でなければいけない、と考えていますから。

Q:演技が大切だ、ということに気がついたのはいつのことですか?
A:
演技が大事だということは常に考えてきたことです。残念ながら、最近のバレエ界はテクニック重視の部分がありますし、劇場で指導くださる先生方の中には「昔のダンサーたちも演技が素晴らしかった」と嘆く方も多いですよね。ただ、現在教わっているアレクサンドル・ヴェトロフ先生、そしてフィーリン先生も演技面、感情面のアドバイスもしっかりしてくださるので勉強になっています。
僕自身、役をいただいたときには必ず本を読んだり、映像を見たり、自分の役はもちろん、他の役についても気持ちの変化を考え、感じるように、出来る限りのことをしたいと思っています。自分が何を踊っているのかということを意識すること、自分が何を表現したいかということを明確にしていけば、お客さまにも判っていただけるのではないでしょうか?ひとつの作品を踊るためには、精神的な準備にも時間が必要です。頭の中でじっくり熟させていく時間が必要なのです。

Q:ひとつひとつ作品に誠実に取り組んでいらっしゃるチュージンさんの姿勢がよく判りました。ところで、演技はもちろんテクニックも、特に第2幕のアントルシャ・シスは驚異的なまでに完璧でしたし、ジャンプや回転の安定感、つま先までの美しさ・・・どれをとっても素晴らしかったです。このようなテクニックはどこで身につけられたものなのですか?
A:テクニックについては、ノヴォシビルスクの学校を卒業して入団した韓国のバレエ団で、ネフ先生というマリインスキー出身の先生に会えたことが幸運でした。テクニック面でも演技面でも細かく指導していただき「白鳥の湖」「ドン・キホーテ」「ジゼル」など多くの作品を学びました。僕にマリインスキー・スタイルを教えてくれた方で、今でもお互いに行き来し、指導していただいています。


Q:ところであなたの出身地、ノヴォシビルスクはどのような街なのですか?ゼレンスキーさんがバレエ団の監督をなさっていますが…
A:
先生方はモスクワからも、ペテルブルグからもいらしていました。ただ、ひとつ言えることは、子ども時代は目で観たものを素直に吸収していきますよね。そういう意味でゼレンスキーさんが監督になってから、ノヴォシビルスク劇場も観客も真に美しいもの、本当の芸術に改めて気がついた、目ざめたと言えるのではないでしょうか?目で観て、肌で素晴らしいものを感じていると思います。

Q:そもそも、バレエはどうして始められたのですか?
A:
母の影響です。彼女はバレリーナになりたかったらしいのですが、残念ながら学校に入れなくて、ずっと憧れていたそうです。それで僕をバレエ・ダンサーにしたいと思った・・・ということです!

Q:ご家族でダンサーだった方は?
A:いいえ、おじいちゃんも、おばあちゃんも、誰もバレエとは縁がありませんでした。家族の誰かがダンサーだったら良いのにな・・・と思ったことはしょっちゅうあります。芸術の世界を小さいころから身近に感じることができますから。僕にもし子どもができたら、バレエをさせたいですね。

Q:踊ることは小さいころから好きだったのでしょうか?小さいときからバレエ・ダンサーになりたいと思っていたのでしょうか?
A:うーん。どうだったかなぁ。僕は責任感のある子どもだったので、いつもいつも一生懸命に取り組んできたことは確かだけど…でも、僕が学校に入って最初に観たバレエが「眠れる森の美女」で、とにかく舞台装置から、衣装から、きらびやかで気に入った何から何まで気に入ったんです。
そうですね…踊ることはもちろん、バレエという芸術が好きなんですね!

Q:ところで、小さいときから憧れていたジークフリート王子は誰ですか?
A:いろいろな映像を観ていますので、ヴェトロフ先生のものも、フィーリンさん、ウヴァーロフさん、どれもどれも気に入っています。ボリショイのダンサーは本当にレベルが高いですから、どのダンサーを観ても素晴らしい、と感動します。でも、本当に本当にひとりだけ挙げるとしたらヌレーエフですね。

Q:最後の質問です。バレエを離れて一番リラックスできることは何ですか?
A:リラックスしたいときは、サウナに行くことが多いですね。できるだけ本を読もうと思っていますし、映画を観ることも好きです。心あたたまるるロシアの古い映画などホッとできますね。ラフマニノフやショパンの音楽も好きで、家でゆっくり聴くこともあります。
そうは言ってもほとんどの時間レッスンをしているので、バレエから離れようと思っても、音楽を聴いていても、頭の中でもいつもいつもバレエのことを考え続けている、というのが本当のところですね!

Q:日本に来ることに不安はありませんでしたか?
A:
いいえ、まったくありませんでした。どんな時でも僕を必要としてくださる方々のところで、踊りたい。それに日本は素晴らしい国ですから!
(「ジゼル」公演は3回目の来日、ボリショイ・バレエ公演は4度目の来日になるそうです。)



ボリショイ・バレエ 日本公演2012

会場:東京文化会館(全公演)

《スパルタクス》
 2012年1月31日(火) 18:30
 2012年2月1日(水) 18:30
 2012年2月2日(木) 18:30


《ライモンダ》
 2012年2月7日(火) 18:30
 2012年2月8日(水) 18:30


《白鳥の湖》
 2012年2月4日(土) 14:00
 2012年2月9日(木) 13:00
  2012年2月9日(木) 18:30


詳しい公演情報はこちらから

インターネットでのチケット購入はこちらから

<東京以外の公演>
★:白鳥の湖 ◆:スパルタクス ◎:ライモンダ
★ 2012年1月27日(金)三重県文化会館大ホール

◎ 2012年1月28日(土) 滋賀県立芸術劇場びわ湖ホール大ホール
★ 2012年1月29日(日) アクトシティ浜松大ホール
◆ 2012年2月5日(日) 愛知県芸術劇場大ホール
◎ 2012年2月11日(土) 兵庫県立芸術文化センター大ホール

★ 2012年2月12日(日) 兵庫県立芸術文化センター大ホール

posted by JapanArts at 16:58 | ボリショイ・バレエ2012>ダンサー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

加治屋百合子のドキュメンタリーが放送[アメリカン・バレエ・シアター(ABT)]

ABTのソリストと、加治屋百合子を追いかけたドキュメンタリーが放送されます。
NHK-BSプレミアム 「バレリーナ Yuriko 〜27歳の輝き〜」
http://www.nhk.or.jp/bs/hvsp/

2011年9月3日(土)22:00〜23:30
2011年9月4日(日)16:30〜18:00
(再放送)

お見逃しなく!

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